現在のヨーロッパの地域区分はヨーロッパを理解する上で障害になることがある。
ヨーロッパは陸続きであり、その歴史は様々な民族の移動や侵入の歴史とも言える。
このため民族の区分が現在の国境と合っておらず、日本では比較的簡単に収まりきる「国民史」という概念では簡単に捉えきることができない。
例えば「中央ヨーロッパの歴史」とは広義的なドイツ語圏の歴史である。
「ドイツの歴史」を書く場合、これらの地域でのドイツ人の活動の歴史とどのように整合性を取っていくかということが問題になる。
また、時代による名称の違いも障害となる。
日本では日常的に「イギリス」という言葉を用いるが,現在の「イギリス」は18世紀中ごろに形成し始めたもので、それ以前は「イングランド王国」である。
よって「イギリスの歴史」とは、18世紀中ごろまでは「イングランド王国」の歴史である。
すべてを「イギリス」としてとらえるのでは、イギリスの歴史を正しく認識していないし、スコットランドやウェールズ、アイルランドの歴史を全く無視していることにも繋がりかねないのである。 |